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松江家庭裁判所 昭和40年(家)203号 審判 1965年3月10日

本籍 松江市 住所 萩市

金美保こと

申立人 山中和子(仮名)

主文

松江市役所備付の同市○○町一四六番地山中良三の原戸籍中長女和子の身分事項欄の「昭和二四年一月一九日国籍中華民国金定仁と婚姻により国籍喪失父山中良三届出同月二五日受付除籍」とあるを消除し同戸籍に同人の記載を回復することを許可する。

理由

本件記録によれば、申立人は昭和二三年一〇月一〇日松江市において、国籍中華民国金定仁と結婚式を挙げて同棲し、同二四年一月一九日中華民国駐大阪総領事に対し、同国の婚姻方式に従い婚姻届出をし、中国法上適式な婚姻と認められ、中華民国国籍を取得したこと、及び同年一月二五日申立人の父山中良三は松江市長に対し、申立人の同国国籍取得証明書を添付し、国籍喪失届を提出し受理され、その結果右山中良三の原戸籍中長女和子の身分事項欄に昭和二四年一月一九日中華民国国籍金定仁と婚姻により国籍喪失父山中良三届出同月二五日受附除籍の旨登載せられ除籍されたことが認められる。そして、右山中良三の原戸籍、山口地方法務局戸籍課長の萩市役所戸籍係長に対する回答書、萩市長の照会回答書によれば申立人は我国の方式による金定仁との婚姻届出をしていないことを認めることができる。

ところで、法例一三条一項但書によれば、婚姻は婚姻挙行地の法律によると定められ、同法上二項によりただ日本人間の外国における婚姻についてのみ日本法により得る例外を認めているに過ぎない。してみると、申立人の上記婚姻は婚姻挙行地たる日本の法律の定める方式に従つてなされていないから、我が国法上有効な婚姻と認めることができず、我が法上有効な婚姻と認められない限り旧国籍法一八条の適用はないと解するほかないから、申立人は上記婚姻により日本の国籍を失つていないというべきである。以上の次第で上記国籍喪失届出はこれを受理できないものであり、誤つてこれを受理してなされた上記戸籍の記載は法律上許されないものということができる。

よつて、該戸籍の訂正を求める申立人の本件申立を理由あるものと認め、戸籍法一一三条により主文のとおり審判する。

(家事審判官 五十部一夫)

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